2015年4月15日水曜日

映画 ディオールと私

デザイナーというと、"おしゃれでなんだかカッコイー仕事をしている人"と思われがちですが、この映画ではリアルなクリエイティブの現場がのぞけます。私は空間のデザインの仕事をさせてもらっていますが、映画を見ている間ずっと共感と感動と賛美の気持ちでいっぱいになりました。ラストのファッションショーでは、自分が関わったように涙があふれてきました。

おしゃれデザイナー1人がデザインしているのではない!

ファッションデザインの事情は映画を見るまで知りませんでしたが、建築でもインテリアでもプロダクトでも、ビッグネームのデザイナーは一人の巨匠が全てをデザインしているわけではありません。たいてい分業制です。大御所でも作風が急に新鮮になったりすると「いいインターン入れたんじゃない?」なんてうわさされることもあるくらいです。
私も大手のデザイン会社に所属していた時は、ひとつのプロジェクトにみんなでアイデアを出し合って、その中から組み合わせたり、ブラッシュアップさせたりして仕事をしていました。過去の作品や今のトレンド等をコラージュすることもあり、はじめは「パクリじゃ…」を戸惑いましたが、もう100%オリジナルなデザインは作るのが難しいのですね。

デザインを作ってるのはチームの一人一人。

私が一番感動したのは皆さんのプロ意識です。この映画を見ると、ディオールではお針子さん達が"Dior"であることがよくわかります。みんなバックステージから顔を出すことはありません。何ヶ月もかけて、徹夜して1着のドレスを作ったのに、賞賛はデザイナーに送られます。
映画でデザイナー本人より印象に残るのがアシスタントデザイナーです。デザイナーとお針子さん達の間に立って常に仕事がうまく運ぶように気配りをしていました。きっと言いにくい事とかたくさんあると思いますが、みんなのモチベーションを保つように振る舞っていました。
組織の中で働いていると、個人の名前はなかなかクレジットに出してもらえません。自分のアイデアだったのに上司の作品になっていたり、一番作大変だったのに、たいして働いてない正社員の人の名前しか表にでなかったり。アイデアを現実にする為に働いた人達、現場で作る人達も表にはなかなか出てきません。
でも一緒に仕事をした仲間同士なら、その人がどんなに優秀で真剣でがんばっていたか知っています。私もちょっとくさっていたことがありましたが、がんばってる人は、じみちに真面目に仕事してる人をちゃんと見てくれてる、また一緒に仕事したいと思ってもらえるようにがんばろうと思いました。ヘコんだ時用にDVDがでたら購入しようと思います。


デザインだけでなく、ものづくりに関わっている方はきっと共感できる、とってもおすすめの映画です!
公開している映画館:http://dior-and-i.com/info/